エレクはカーテンの隙間から漏れる陽の光に起こされた。
何事もない一日であれば申し分のない朝なのだが、村のことがあった為かベッドに腰をかけた状態で
座ったまま、なかなか動けずにいた。
しばらくすると、部屋のドアがドンドンと叩かれる音がした。
エレクは気分が浮かなかったのですぐには返事をできずにいたが、すぐに扉は勢いよくあけられた。
驚いて顔をあげるとそこにはレイアが清々しい顔でたっていた。
「なんだ。まだ何も準備できていないじゃないか。さっさと朝ごはんを食べてでかけるよ。」
それだけ言い残すとレイアはバタンとドアをしめてすぐに部屋をでていった。
あまりの勢いだった為、エレクはしばらくぼーっとしてしまったが、あまりレイアを長く待たせると拳が
飛んでくるようなき気がしたので急いで準備を始めた。
宿屋で朝食を終えると二人は宿の主にお礼を述べ、そこを後にした。
レイアが前を歩き、エレクがその後を追うような形で歩いていたが、まだ肝心の目的地がエレクにはわからなかった。
宿を出たときにレイアに今日はまずどこに向かうのかと聞いたところ、
「まぁ、いいからついてきな。」
と言われてしまったので後ろに着いていくしかなかったのだった。
しばらく歩くと正面にこのノーブル国の主が住む場所・・・つまりノーブル城が目にはいった。
外壁は真っ白でそれほど大きくないながらもしっかりと手入れが行渡ってるのがよくわかる。
そんな城にエルクがみとれていると、レイアが
「エレクはちょっとここで待っていてくれ。」
といって、エレクの持ってきた武器のはいった袋を持つと城門の前に迷いもなく歩いていってしまった。
国の祭りなどで城が公開されている以外では普段一般人は入ることは出来ないので、エレクはひやひやしながらレイアの背中を見ていたが、レイアは城門の前にいる兵士と二言三言会話をしたかと思うと、すぐに中に入っていってしまった。
エレクは驚きながらもどうすることも出来なかったので、近くの木陰に腰掛けてレイアの帰りを待つことにした。
30分くらい時間がたっただろうか。レイアが城から出てきて、兵士の肩をポンポンと叩くとこちらに向かって歩いてきた。
その様子を見ていたエレクは、
「知り合いなの?城内は普段入れないはずだけど。」
と聞くと、レイアはニッと笑い
「まぁ、ちょっとね。なんだ、やきもちでも妬いているのかい。それよりも、ホラ」
というと、ジャラジャラと音の鳴る袋を投げた。
エレクがそれをあわてて受け取るとずっしりとした重量を感じたのであわてて中身を確認した。
「なっ!?こんなにたくさん。まさかお城のひとを脅し・・・」
言い切る前に、ゴンッという音が聞こえると目の前を星がとんでいた。
「エレクは私を何だと思っているだ。ちゃんと売って来たに決まっているだろう」
と、ため息まじりにレイアが答える。
エレクはまだ頭がクラクラしていたが、
「冗談なのに。結構本数があったし、良く全部売れたね。どんな手を使ったの」
と聞くと、
「昨日秘策があるって言っただろう。まぁ、いいものは売れるって事さ。それだけのお金があればしばらくは
困ることはないだろう。必要なものを買ってすぐに出発しよう。」
というと、町の外に向かってあるいていってしまった。
肝心な売った方法についてははぐらかされてしまったと思ったが、エレクはそれ以上聞くことはやめて、あとをついていくことにした。

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